『幽憬』
横山彰乃はヒップホップ系の都会的なセンスと同時に、長野に密着した活動にも力を入れる地元文化へのこだわりなど多角的な魅力がある。「踊りの起源をテーマとした」という本作は、そういう横山の深みを堪能できる作品だ。
上手にダンサー、下手にミュージシャンが配置される。一段低くなっている中央がアクティングエリアである。音楽はSuiseiNoboAzが全編書き下ろしで生演奏。ロックの合間に民族音楽が不意に差し込まれるような独特なスタイルである。力のあるダンサー達によって動きのダイナミズムが増すことで、さらに細部が際立ってくるという相乗効果が加速していく。
やがてダンスが「視界に入らない=目に見えない」相手に対して語りかけているような様相を呈してくる。これは古来から人間が祭を通して神や祖霊など「目に見えぬもの」とつながってきたことを想起させる。
そして最後にはダンサー達が乗っていた大きな台を下手のミュージシャンの台の元へ押していく。最後にダンサー達は台の上でじっとたたずみ音楽と向かい合う。轟音と静寂が共存する世界が現れるのである。
2022
シアタートラム
製作(オンライン配信):国際交流基金 (JF) (https://www.jpf.go.jp/)
製作協力:一般社団法人EPAD (https://epad.jp)
<公演情報>
出演 :中川 賢、小山まさし、中川絢音、斎木穂乃香、中條 玲、coyote
音楽・出演:SuiseiNoboAz
振付・演出・出演:横山彰乃
照明:高田政義(RYU)
音響:池田野歩
舞台監督:河内 崇
衣装:畔上万知
記録映像:飯名尚人
制作:瀧本麻璃英
提携:公益財団法人せたがや文化財団 世田谷パブリックシアター
後援 :世田谷区
助成:(公財)東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、セゾン文化財団
作品制作協力:世田谷パブリックシアター
主催:山麓
<広報文>
乗越たかお
<カンパニーウェブサイト>
https://www.yokoyamanaa.com/